移住 準備から移住までのあゆみ
移住の失敗はしたくないもの。
失敗したら精神的にも経済的にも相当ダメージを受けることを考えたら恐ろしく、我が家は何度も何度も話し合いを重ねました。
なぜ移住をするのか?
・子どもを自然の中でのびのびと育てたい。
・長崎はかつて住んだことのある土地であり、土地勘があり、知人もいる。
・転職の予定ではあるが、転勤という方法が取れる可能性もあり、もしそれが可能であれば経済的な心配が少ない。
・私が地震に対して過剰に反応するので災害の少ないところで過ごさせてあげたい。
これが主人の移住の理由でした。
私もこの理由には反対しないのですが、曖昧だなと踏み出せなかったのです。
子どもを自然の中でのびのびと育てたい、「騒がしいここを離れて地方でのんびり静かに暮らしたい」とは言っても移住先で何をしたいのか、やりたいことを明確にしないと「こんなはずでは」ということになりかねません。
我が家の場合、仕事は転勤扱いになれば今の仕事を続けるわけで、地方で農家を目指すわけではありません。
そもそものびのびって何?のびのびするために移住するの?何をするわけ?と私。
アレルギーのある子どもたちなので、無農薬とは言わないけれど家庭菜園で食育も兼ねて一緒に野菜を作って安心して食べさせたいと言う夫。
畑は砂場ではないし、虫もいるよ。野菜作ったことあるの?草むしりもしないといけないよ。仕事と両立できるかな?とことごとく反論する私。
それに「地方=のんびり」ではないよ。のんびりとした空気が流れているかもしれないけど、ここと違って隣近所のお付き合いも密で、地域の行事も多いし、こことまた違った忙しさがあるんじゃないかな。
これはSNSを通じて知り合った方からのアドバイスの受け売りなのですが、あの手この手で移住の本気度を確かめようとしました。
決して移住が嫌だったわけではないのですが、曖昧な理由で何となく移住して、「失敗したから帰ればいいや」なんていうようなことにはどうしてもなりたくなかったのです。
それにこれで移住をあきらめるようであればそれまでだと考えていました。
今思えばこの頃の私たちは移住に向かって一致団結どころか夫のプレゼンに私が意見を言うという連日攻防戦を繰り広げていました。
夫の想いは良くわかるのですが、私自身が新しい生活への変化に不安を覚えていたのかもしれません。
変わることへの不安、これは何をするにも必ず起こります。
移住に関して言えば、不安を払拭するには正しい情報を手に入れ、自分の想いを相手に伝え、相手の想いにも耳を傾けること、互いの意見を擦り合わせて納得するまで話し合うことだと思います。
どちらかに不満や我慢があるとそこからほころびが生じてきます。
今では笑い話ですが、当時夫は夜な夜な移住の情報を読み漁り、通勤中「きょうはどの方向から攻めようか」と考え、私は私で相談窓口に相談をしつつ、移住をされた方に意見を伺うという日々を送っていました。
パートナーや家族の合意は大事
パートナーや家族に「えっ?移住?なんで?嫌よ」と言われると移住の実現は困難です。
夫または妻が移住に積極的で、パートナーは無関心か反対というケースはよくあるようです。我が家もそのケースだったと思います。
「では、私だけ行くから。それぞれお互いに好きな場所で暮らそう。」と家族がバラバラになるのは決してお勧めできません。
なぜなら家族が断絶したり、そのことが離婚につながるケースを移住後いくつも見聞きしたからです。
何度も話し合いを重ねることが大切だし、合意に至らなければ諦めるのもひとつの選択だと思います。家庭が壊れる移住はする意味がないからです。
どういう移住スタイルを取るのか?
移住生活を成功させるポイントのひとつが地域社会へなじむことです。
地域の行事や地域の清掃などの共同作業に参加することで、地域の一員として周囲から認知されることになります。
仕事や家庭の事情でそれが難しいという方もいらっしゃるでしょう。
移住された方の中には二地域居住という方法を取っていらっしゃる方もいます。
そういった方々は滞在中には積極的に地域の方と関わり持って地域に溶け込んでいっているようです。
人と関わるのが苦手、もしくは交流はしたいけど密なのはちょっとと思われる方は別荘移住などを選択される方もいらっしゃいます。
ただし、二地域居住は現居住地と移住先を行き来するための交通費や二重に生活費がかかるなどのリスクもあります。もしも、どちらか単独での移住をした場合、パートナーと別行動になるため、すれ違いのリスクにも気を付けなければなりません。
条件をリストアップ
移住の条件は、人それぞれです。
農家を目指しているのであれば、畑があるところを探すでしょうし、子どもがいれば学校に通いやすいところ、高齢者であれば病院が近いところを探すかもしれません。これは絶対に譲れないという条件をあげて絞り込むのがお勧めです。
なかなか考えがまとまらない場合は、自治体の移住担当者や民間の不動産業者に相談して条件を整理するのもいい方法です。
自分でできる情報収集とは
移住したい地域が決まっている方は、その自治体の移住相談窓口に問い合わせるのはもちろんなのですが、お勧めなのは直接窓口や相談センターを訪ねて相談することです。
今は出張相談会が開催されたりしているので、たとえば東京などでも直接相談員さんに相談することができるので、相談会のチェックをされるといいと思います。
こちらが気づかない問題点や確認しなければならないことを教えてくださることもありますし、支援金についても詳しく説明していただけます。
資料をいただけるのもとてもありがたいことでした。
まだ移住先が決まっていない方は、移住サイトなどがたくさんありますので、そちらを活用するという方法もありますし、今はLINEなどで相談ができるところも多いですよ。
とりあえず体験というお試しも
「その地域で暮らした経験がない」「移住の決断はつかないけれど、その地域のことを知りたい」という人は、お試し住宅を利用するのもひとつの手だと思います。
施設によって滞在可能期間は1泊から1〜2年とさまざまなので調べてみましょう。
農作業を手伝う体験ツアーへの参加や、体験つきの農林・漁村民宿に泊まることをきっかけに移住した人もいます。
自治体によっては移住体験の補助金が支給されるところもあります。
我が家も夏季休暇を利用して、移住体験をさせていただきました。
転勤扱いで移住をする予定なので、補助金や支援金はいただけないのですが、夏の長期旅行のつもりで自前で出かけました。
出かける前にあらかじめ調べて住みたい地域を絞り込んでおきました。
まずその地域を中心に環境やお店、幼稚園や学校、病院などを見て回ることと子どもが小さいので、条件に合った一戸建てを探すことが目的でした。
また、自家用車は持たない予定にしていたので、車が必要と言われている坂の長崎で暮らしていけるのかを確認したいというのもありました。
結果まだ家は決められなかったのですが、環境にも満足。
バスが15分に1便通っているので、自動車は必要ないということになり、「ここに来る?」と心が傾いたのです。
話し合いの結果、引っ越しの多い3月を避けて2月に移住をする計画を立て、不動産屋さんに家を探してもらえるようにお願いして帰ってきました。
空き家を見学する際の注意点
今全国的に空き家が増えています。
当初は空き家に住むという選択はなかったというよりそういう発想がなかったのですが、不動産屋さんからの紹介で住むことになりました。
地方の空き家を手に入れるルートは、不動産業者だけでなく、自治体でも紹介してもらえる場合があります。
最近では空き家バンク制度を設ける自治体が増えています。購入もできますし、私たちのように賃貸もできます。
不動産屋さんにお願いしていた家の見学に行ったのですが、とてもきれいな物件もあります。
でも、本当に空き家が多いのには驚きました。私たちは現在賃貸なのですが、将来的には購入を考えています。
今の物件にするか、それとも別の家にするか、まだ思案中ですが、空き家は傷んでいる物件も多いので、見学の際は水回りを中心に家の状態をしっかりとチェックすることが大切です。
仕事はどうやって探したらいい?
東京にUIターン転職の相談窓口や、人材バンクシステムを用意している自治体が数多くあるので利用してみてはいかがでしょうか。
「ハローワーク・インターネットサービス」は市町村まで対応しているし、既に地域を絞り込んでいる人には便利だと思います。
「全国新規就農相談センター」のホームページでは、農業法人の求人情報のほか、農業を始めるための情報が手に入ります。
移住前に準備したいこと
移住には引っ越しを伴います。荷物の量や引っ越しの時期によっては、引っ越し費用がかかります。
また、空き家や中古物件を購入した場合、建物の補修費用等が予想以上にかかるケースもあるので、いざというときのための貯蓄が必要になります。
また、移住先によっては車が必須のところもあるので、運転免許がないと移住する場所はかなり限定されてしまいます。可能な限り免許は持っている方が良さそうです。
お店が少ないところに住むとネットショッピングの機会が増えるので、パソコンやネット環境も必要になります。
移住をしたら
無事、引っ越しが終わったら、挨拶回りなどがあるかもしれませんが、地域の習慣なども含めどこまでしたらいいのか、ご近所に尋ねた方がいいかもしれません。
私は転入の際にいただいたチラシに「自治会に加入しましょう」というものがあり、窓口で自治会を紹介してもらいました。
後日自治会長さんが訪ねてきてくださり、自治会に加入。1年経った今年は4月から自治会の班長(順番に回ってくる)をすることになりました。
自治会活動を通して近所の方とのお付き合いも増えました。
自治会への加入はお勧めです。