【心に響く病院ラジオ】サンドウィッチマンと子どもたちのリアルな声に涙|府中・小児病院編(2025年4月29日放送)

「ラジオには、目に見えない力がある」
そう思わせてくれる番組があります。
NHKの名物番組「病院ラジオ」をご存じですか?
芸人のサンドウィッチマンが全国の病院を訪れ、入院中の患者さんやご家族と直接会話をしながら、1日限りの特別なラジオ番組を作り上げるドキュメンタリーです。
今回(2025年4月29日放送)は、東京都府中市にある「東京都立小児総合医療センター」からの放送。がんや難病、摂食障害などの病気と日々向き合う子どもたちが、ラジオブースに集まり、自らの想いや体験を語ってくれました。
この記事では、「病院ラジオ」の魅力と共に、今回の放送で感じたこと、心に残ったエピソードを通じて、番組の温かさや素晴らしさをお伝えします。
番組を見逃した方、これまで見たことがなかった方にも、その感動が届きますように。

「病院ラジオ」とは?サンドウィッチマンが届ける“声の処方箋”
「病院ラジオ」は、NHKが2018年から放送している人気ドキュメンタリー番組です。患者や医療従事者、家族がそれぞれの想いを語り、音楽と共に届ける“1日限りの院内ラジオ”。
パーソナリティを務めるのは、誰にでも優しく、ユーモアたっぷりに寄り添ってくれるサンドウィッチマンの伊達さんと富澤さん。
決して明るいとは言えない“病院”という舞台で、笑いと涙が交錯するひとときを作り出してくれるこの番組。視聴者は、患者さんの“本音”や“願い”に静かに耳を傾けることができ、「生きること」に対する価値観が自然と変わっていく、そんな力を秘めています。
ありのままの想いが電波に乗り、病院の中と外を優しくつないでくれます。
決して派手な演出はなく、静かで地道なやり取りの連続。
でも、その中に、人生の重み、苦しさ、そして希望が詰まっているのです。

今回の舞台は子ども専門の病院|東京都立小児総合医療センター
2025年4月29日放送回の舞台は、東京都府中市にある「東京都立小児総合医療センター」。ここは、全国でも珍しい“ファシリティドッグ”が常勤する小児医療専門の病院です。
ファシリティドッグとは、特別な訓練を受けた犬が医療チームの一員として働き、患者の心のケアを担う存在。治療の合間に訪れては、子どもたちの不安を和らげ、笑顔を引き出す力があります。
入院生活において、子どもたちのそばに寄り添い、そっと不安や痛みを和らげてくれる、いわば“もうひとりの医療スタッフ”。この病院ならではの温かい取り組みが印象的でした。
そんな特別な環境で暮らす子どもたちが、ラジオブースに集まり、病気との向き合い方や、支えになっていることを“自分の声”で語ってくれました。
心に響いた3つのエピソード
▼腎移植か人工透析か…決断した9歳の男の子
今回もっとも心を打たれたのが、腎臓の病気で入院中の9歳の男の子のエピソード。彼は、腎移植をするか、人工透析を続けるかという選択を、自分自身で考え、家族と相談しながら「透析」を選んだと語ってくれました。
その言葉に、スタジオの空気が一瞬止まったような気がしました。まだ小さな身体で、大人でも難しい選択を迫られ、それでも前向きに生きようとする姿に、胸が熱くなりました。
彼の言葉は、とても静かで力強いものでした。自分の体と向き合い、未来に希望を抱くその姿に誰もが胸を打たれたはずです。
この一言には、生きる力が詰まっています。
▼がん治療中に出会った「THE ALFEE」が支えに
音楽が心を救う——そんなことを教えてくれたのは、がんの治療中に「THE ALFEE」に出会い、元気をもらっているという中学生の話。
「最初に聞いたのは『星空のディスタンス』。なんか力も湧いてきた。」
推しがいることで、治療へのモチベーションが高まったという彼。ライブ映像を見ながらリズムを取ったり、アルバムを聞いて気分転換をしたり…。音楽が、治療の痛みや不安を乗り越えるための“お守り”になっていることが伝わってきました。
ただの“推し”ではなく、命を支える大切な存在になっていたのだと、彼の声から伝わってきました。
音楽には、気持ちを抱きしめる力がある――そんな真実が、ここにありました。
「THE ALFEEさんに、直接ありがとうって言いたいです」
彼の声は、きっと全国のファンやメンバー本人にも届いたはずです。
▼摂食障害と向き合う16歳の女の子
そしてもうひとつ、特に印象深かったのが、ダイエットをきっかけに摂食障害を患ったという16歳の女の子の話。
「最初は“痩せたい”だけだったけど、だんだん食べるのが怖くなって、自分でもコントロールできなくなった」
心の病気は、外からは見えにくいもの。それでも彼女は、自分の言葉で過去を振り返り、今感じていることを、まっすぐに話してくれました。
今は入院治療を経て、少しずつ自分を取り戻す日々。
その姿に、同じように悩んでいる人たちへの“灯り”がともるようでした。

たった一日だけど、一生に残る「声の記憶」
「病院ラジオ」は、その日限りのラジオ番組。けれど、話したこと、聴いたことは、患者さんの心にずっと残る“記憶”になります。
サンドウィッチマンのふたりが、あたたかく、ユーモラスに接してくれるからこそ、普段は言えないような気持ちも自然と口にできる。そこには、“お笑い芸人”という枠を超えた、真のコミュニケーションの力があると感じました。
見ているこちらも、つい涙がこぼれてしまう瞬間がありました。でもその涙は、悲しみではなく“希望”と“感動”によるものです。
伊達さんも富澤さんも、相手の話をさえぎらず、焦らせず、ただ“隣に座って聴いてくれる”存在。
医療者ではなく、家族でもなく、でも特別な関係――
「聞き上手」という言葉だけでは足りないほど、彼らの包容力が、子どもたちの背中をそっと押していることがよくわかりました。
誰かに話を“聞いてもらう”ことで、人はこんなにも勇気づけられるんだ――
そんなことを教えてくれる時間でした。
「病院ラジオ」は、私たちに何を問いかけてくれるのか
病院という、人生の“特別な場所”で生まれるリアルな声。その声に耳を澄ますことで、健康であることのありがたさ、家族や友人とのつながりの尊さ、自分の心と向き合うことの大切さを、改めて思い出させてくれる番組です。
テレビ番組なのに、まるで“耳で感じる物語”のような優しさと力がある「病院ラジオ」。
病気の痛みは、見えるものばかりではありません。
不安、孤独、将来への不透明さ…その多くは“心の中”にあります。
でも、それを“声”として外に出せたとき、人はふっと楽になれる。
今回の「病院ラジオ」は、そんな心の変化を、視聴者にまで感じさせてくれる貴重な番組でした。

最後に:見逃した方はNHK+で視聴を!
「NHK病院ラジオ 東京都立小児総合医療センター編」は、NHK+(プラス)で見逃し配信もされています。
放送を見逃した方も、もう一度観たい方も、ぜひチェックしてみてください。
あなたの心にも、きっと残る言葉や笑顔があります。
最後に:心がちょっと疲れたとき、この番組を
生きることに迷ったり、疲れたりしたとき――
この「病院ラジオ」は、きっとあなたの心をそっと撫でてくれます。
子どもたちの言葉には、飾らない真実と、生きる力が詰まっていました。
どうか、ひとつでも心に残る言葉が見つかりますように。