気になる雑学

退職代行は「大迷惑」なのか?辞める側・辞められる側の本音と現実

まりん
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「大迷惑です。とにかく大迷惑の一言。」

これは、大手金融機関の人事担当者が、退職代行業者を通じて従業員の退職届を受け取ったときの一言です。
「退職代行」が登場して久しくなりますが、いまだ賛否が割れるテーマでもあります。

辞める側には辞める理由があり、辞められる側にもそれなりの事情があります。この記事では、両方の立場から見た退職代行のリアルな実態に迫ります。

退職代行は本当に「流行」しているの?

近年、テレビやネットで「退職代行」が話題になることが増えました。過ぎた連休明けにも大きな話題になっていました。
まるで「今どきの若者はみんな使っている」かのような印象さえあります。

しかし、今回大手企業に行ったアンケート調査によると、退職代行の利用経験者がいた会社は約85%。一見多いようですが、件数は意外と限定的。たとえば、従業員が数千人いる企業で「利用者はたった一人」というケースもあります。

業界や企業規模によって偏りがあり、ある商社の人事担当者はこう語っています。

「当社ではゼロ。でも、知人の病院経営者は2年連続で退職代行を使われたと言っていました。業種にもよるんでしょうね。」

東京商工リサーチの調査でも、5149社中、利用例があったのは約1割といいます。
メディアが大きく報道するほど“蔓延”しているとは言いがたいようです。

退職代行に対する企業側の本音

退職代行を通じて社員が辞めると、企業は何を感じ、どう対応しているのでしょうか?

まず、圧倒的に多かったのが冒頭にも紹介した「大迷惑」という反応です。

たとえば金融機関では、退職後の給与・ボーナス精算や貸与物の返却などの事務手続きに支障が出たとのこと。

「退職代行業者は連絡を取ってこないし、辞めた本人とも音信不通。結局、社内処理に時間がかかりまくって、大迷惑でした」

また、住宅販売の現場では、顧客対応で支障が出たそうです。

「若手社員が突然辞めてしまい、顧客との引き継ぎが全くできず、半年以上現場が混乱しました」

一方で、物流や食品関連の企業では、「特に問題なし」「普通の退職と変わらない」という意見もあり、対応には差があります。

退職代行を使う人への人事の本音

退職代行で辞めた社員に対しては、厳しい目が向けられがちです。

「いきなり姿を消すような形で辞めるのは、社会人としてどうかと思います」
「常識も礼儀もない人なんだなと感じます。今後が心配になります」

ここまで聞くと、「やっぱり退職代行は非常識なの?」と思うかもしれません。

でも、中には冷静な声もありました。

「本人にはいろいろ事情があるんでしょう。悪い印象はありません」
「若手が相談できない職場環境こそ問題だと思います。私たちも反省すべき点があるのかもしれない」

つまり、すべてを「本人の問題」として片づけるのではなく、職場側にも原因があるという見方も増えています。

私の体験談:派遣社員の同僚が「突然」いなくなった

ここで、私自身の体験を少しご紹介します。

ある年の春、派遣先の職場で、20代の女性が突然出勤しなくなりました。体調を崩したのかと思っていたら、1週間後、派遣会社を通じて「退職の意向」が伝えられました。

後から聞いた話では、退職代行を使っていたとのこと。驚きました。とても真面目で、むしろ悩みを一人で抱えていた様子もありませんでした。

それと同時に、ちょっとだけ「何か言ってくれたら良かったのに」という気持ちもありました。
でも今思えば、きっと彼女にも言い出せない事情があったのでしょう。

退職代行を使うと転職に不利になる?

多くの企業では、中途採用の際に退職理由を気にします。

アンケートでは、「退職代行を使ったとわかったら絶対に採用しない」という企業が少なくないといいます。

とはいえ、実際には「退職代行を使った」と正直に伝える応募者はほぼゼロ。人事担当者の多くは、そこまで細かくは調べないようですが、何か「引っかかる点」があれば、前職に確認を取るケースもあるそうです。

「最近は急いで採用することも多く、深くは調べません。ただ、今後は確認を徹底するようになるかもしれませんね」

つまり、退職代行の利用が履歴書に書かれることはないけれど、完全にバレないとも限らないというのが実情です。

退職代行を取り巻く社会の空気

退職代行は「ブラック企業から身を守る手段」として登場しました。

しかし、その影響で困るのは会社だけでなく、辞める本人にもなりかねないという声があるのです。

「退職代行って、情報弱者を食い物にするビジネスだと思う。国がもっと注意喚起すべき」
「メディアが持ち上げすぎ。本人の将来にも良くないと思う」

確かに、安易に「ポチッと退職」してしまう前に、本当に他に方法がないのかを一度冷静に考えるべきかもしれません。

まとめ:退職代行を選ぶ前に、できれば「声を出してほしい」

退職代行を使うこと自体は、法的にも問題ありません。
けれど、退職は人生の節目です。できれば自分の口で、上司に「辞めます」と伝えられる職場であってほしいし、そう言えるような空気が職場に必要です。

辞める側も、辞められる側も、人間です。
「逃げた」ではなく、「自分を守った」と言えるような選択であってほしい。

もしあなたが今、「辞めたい」と思っているなら、一度、信頼できる人に相談してみてください。
そして、もしあなたが管理職なら、部下の「サイン」を見逃さないであげてください。

退職代行はあくまで“最後の手段”です。
でも、誰にでもその「最後の一歩」を踏み出させる理由があることを、忘れてはいけません。

ABOUT ME
まりん
まりん
会社員 
趣味:読書 アウトドア活動 料理
日常生活、お気に入りのものや暮らしの工夫などを紹介するライフスタイルブログです。日々の小さな喜びや発見を共有し、読者の皆さんと一緒に成長していけたらと思います。よろしくお願いいたします。

記事URLをコピーしました