音楽がつなぐ心と記憶—ドラマ『水平線のうた』を観て感じたこと

「音楽には、過去と現在をつなぐ力がある」
2025年3月にNHKで放送された土曜ドラマ『水平線のうた』。東日本大震災で家族を失った男性が、音楽を通じて過去と向き合い、再び生きる力を取り戻していく物語です。阿部寛さん主演のこの作品は、静かでありながら、心に深く響く感動のドラマでした。
水平線のうた 水平線のうた(放送予定)
今回は、このドラマのあらすじやキャストの魅力、実際に視聴して感じたことをお伝えします。

あらすじ—止まった時間が、音楽とともに動き出す
主人公の大林賢次(おおばやし けんじ)(阿部寛さん)は、東日本大震災で最愛の妻と娘を亡くしました。
以来13年間、彼は宮城県でタクシー運転手として働いています。「亡くなった人の霊がタクシーに乗ることがある」という噂を心の支えにしながら——。
そんなある日、賢次はりら(白鳥玉季さん)という女子高生を乗せます。彼女が何気なく口ずさんだメロディーは、亡き妻・早苗(松下奈緒さん)が生前に作曲していた曲でした。
「なぜ、この子がこの曲を知っているのか?」
賢次は、りらの歌声をきっかけに止まっていた時間と向き合い始めます。
やがて、音楽がつなぐ不思議な縁が明らかになっていき……。

キャストの魅力—静かな演技が心を打つ
阿部寛さん(大林賢次 役)
賢次は、震災による喪失感を抱えながらも、心のどこかで家族とのつながりを求め続けています。阿部寛さんは、そんな男性の複雑な感情を、台詞の少ないシーンでも表情やしぐさで繊細に表現していました。
涙をこらえるような場面では、見ているこちらまで胸が締めつけられるような思いに——。
白鳥玉季さん(りら 役)
りらは、無邪気な高校生に見えますが、心の奥には大きな悩みを抱えています。白鳥玉季さんの自然体な演技が、役柄のリアルさを引き立てていました。
彼女の歌声が、物語の大切な鍵となるのですが、その歌が流れるシーンは本当に感動的でした。
松下奈緒さん(大林早苗 役)
賢次の亡き妻・早苗を演じた松下奈緒さん。彼女の回想シーンでは、家族への深い愛情が伝わってきます。
音楽を愛し、家族を愛した女性の優しさが、彼女の表情や声色からあふれ出ていて、印象的でした。

音楽が生み出す奇跡—このドラマが伝えたかったこと
『水平線のうた』は、音楽が過去と現在、そして人と人をつなぐ力を持っていることを教えてくれる作品でした。
賢次にとって音楽は、亡くなった妻との思い出そのものであり、同時に「前を向くための希望」でもありました。
震災で大切な人を失った人々の思いは、決して消えてなくなるわけではありません。
だけど、音楽のような「目に見えないもの」が、その思いを誰かに引き継ぎ、形を変えて生き続けていく——。
そんなメッセージが込められているように感じました。
視聴者の感想—心に響いた言葉たち
放送後、SNSでは多くの感想が寄せられていました。
- 「静かに進む物語なのに、気づけば涙があふれていた。」
- 「震災の記憶と向き合うことの大切さを感じた。」
- 「音楽の力ってすごい。人と人をつなぐものなんだなって実感した。」
私自身もこのドラマを見て、震災から時間が経った今こそ、大切なことを忘れずにいたいと強く思いました。

まとめ—大切なものは、きっと消えない
『水平線のうた』は、震災をテーマにしながらも、決して重苦しいだけの作品ではありませんでした。
それどころか、「人はいつからでも、もう一度歩き出せる」という温かな希望を感じることができる物語でした。
過去と現在をつなぐ音楽のように、大切な思いはきっと誰かに届いている。
そう信じたくなる、素敵な作品でした。
もしまだ観ていない方は、ぜひチェックしてみてくださいね。