利用してみませんか?長崎市空き家バンク
長崎は斜面地が多く、山の上までバスが通っているところや車が入れるところもありますが、階段を登って移動をしなければならない地域も多くみられます。
そのため、長崎市は高齢者の生活支援として、いろいろな施策を取られているようです。
外出困難者のお手伝いをする「移送支援サービス『いこーで』」やごみを出すのが大変な方のために、自宅までごみを集めに行く「ふれあい訪間収集事業」もあります。
斜面移送機器が設置されているのは斜面地でも家が密集している地域に限られており、車やバスが通らなければ階段を使っての移動になります。
今、斜面地ではその環境の厳しさから高齢者が減り、それに伴って増える空き家が問題になっています。
ここでは、縁があって空き家に住むことになった私の空き家暮らしのメリットと長崎市の空き家バンクについてお話します。
1.長崎市の斜面地
長崎市の斜面市街地はどうやってできたのでしょうか。
元々、田や段々畑などがあった所に、1960年代頃から、細い畦道に沿って下の方から家が建ち始めました。
当時はまだ車社会になる前であったことから、車が通る道路の必要性もあまり考えていなかったようで、結果的に車が入れない市街地ができてしまいました。
外からの景観としては、他では見ることのできない斜面地に立ち並ぶ家というのは非常にすばらしく見えますが、実際まちの中に入ってみると、細い階段道や坂道が縦横無尽に走っています。
このような状況の中でまず問題になるのが、日常の移動に関することです。
一部の地域では、ゴミの収集時にゴミを入れるカゴの下にソリをつけて、階段を巧く滑らせて運んでいますが、このような作業のために、長崎市と同規模の他都市に比べて数億円多くの費用が必要となっているという現状があります。
また、坂道の途中には、坂を上り下りする人々が休憩するためにバンコと呼ばれるベンチが置かれていたり、休石という石で作られたイスが設置され、そこに腰掛けて休憩する人々の姿もよく見られます。
このほか、階段を登るのはきついため、坂の上の車道までバスやタクシーなどを利用して上がり、そこから歩いて下って来るという話もよく聞きます。
次に問題になるのが、防災に関することです。坂の街には、消防車が入れないために消火活動困難地域となっている所も数多くあります。
万一、火災が起きた場合、車が入れる道路がないところでは、消火ホースを背負って火災現場まで走り、消火活動を行うことになります。このため、消防車両が進入できる地区に比べて初期消火が遅れることもあります。
きらに、坂の街には、古い住宅が多くあります。
坂の街では住宅の建築費が高いことと家を建て替えようにも必要となる接道などの条件に対応できないことが多いことから、なかなか住宅の建て替えが進まないからです。
このため、古い住宅が多く残っており、火災などの危険に対して脆弱です。
このように、坂の街では日常の階段の上り下り、車両を使った消防・救急活動や福祉サービスにも支障をきたしていることから、高齢になると自宅での生活が難しくなり、自宅を離れて施設に入所されたり、子どもさんのところに行かれたりで空き家になってしまうことが多く、住まなくなった家が朽ちて危険なことになったり、実際倒壊してしまうということも起きているようです
2.空き家住まい
私の住む家は不動産会社を通じて紹介していただいた空き家だったのですが、長崎には多くの空き家があります。
そのため、長崎市は「空き家・空き地情報バンク」を作って、長崎市への移住・定住を検討している市外在住の方、そして新たに市内での転居を考えられている市民の方にも、市内に存在する空き家・空き地の情報を提供して、住んでもらうことで地域の活性化、空き家の活用などを図ることを目的にしています。
実際に近くの空き家に引っ感して来られた方は子どもさんが3人おられ、なかなかにぎやかです。我が家の子どもも一緒に遊ぶようになり、近所にご迷惑ではと思うほど元気に遊んでいます。
オーナーさんのご厚意で、自由に使ってもらっていい、リフォームも自由にしていいということで、あまり気を遣うことなく住まわせていただいています。
近所には、引っ越してきたときに、ご迷惑をおかけするようなことがあったら即ご注意いただけるようにお願いはしていました。
時々「ご迷惑ではないですか」と尋ねるのですが、「子どもの声が聞こえるようになって嬉しい」「こちらも元気になる」「来てもらって嬉しい」と近所の方には本当に温かく寛大に受け入れていただいてありがたく思っています。
戸建てということもあって、近隣との関りも多く、皆さん、まるで本当の係のようにかわいがっていただき、ときには叱ってもいただいています。
親だと甘えて聞かないことでも、ご近所の方に言っていただくと素直に聞けたりします。地域で育てていただいていることをありがたく思っています。
子どもが小さいと泣いたり騒いだりで、集合住宅ではとても気を遭ったものですが、こちらに来て子どもは自由に家の中でも走り回ることができ、また多少大きな声を出しても大丈夫なので、のびのび育っています。
また小さな庭があるので、野菜を作ったり、家族でバーベキューをしたりして楽しんでいます。自然に親しめ、肌で四季を感じる暮らしは私の理想で、とても良かったと思っています。
長崎市民の方であっても利用できるのであれば、のぴのびと子育てしたい方はぜひ空き家を利用してみてはいかがでしょうか?
オーナーさんにもよるのでしょうが、一定の年数住んだらその家がいただけるという物件もあると聞いたことがありますが、自分の気に入った家と出会えたならたいへんお得な話だと思います。
子育てする中で、住まいでこうも違うのかと住まいの大切さを日々感じています。
物件にもよりますが、うちの場合は子どもが見たことのないふすまや障子、床の間があったりして、「これは何?」という感じだったのですが、畳の縁を踏まないとか障子やふすまは両手で開けるなど、日本文化を感じるいい機会にもなっています。
3.長崎市の空き家バンク
バンクに登録された物件の内覧等を希望される方は、事前に利用者登録が必要になります。
空き家バンク登録(長崎市HPより)
【利用者登録ができる方】
1.市外にお住まいの方で、空き家等に定住しようとする方
2.市内にお住まいの方で、空き家等に転居しようとする方
【利用者登録に必要な書類]
1.長崎市空き家等利用希望者情報バンク登録申込書(移住希望者用)
2.長崎市空き家等利用希望者情報バンク登録申込書(市民用)
3誓約書
以上を長崎市建築指導課へ提出します。
※利用者登録の申し込みから登録完了までには、2週間ほどかかりますので、お急ぎの
方はご注意ください。
登録した空き家等の情報は、市のホームページなどで紹介しています。
空き家空き地バンク物件検索(長崎市HPより)
4.空き家を放置すると?
とはいえ、空き家はなかなか無くなることはありません。
これは今や全国的な問題なのですが⋯。
空き家を放置し「特定空家等」と判断される場合には、住宅用地に係る固定資産税等の特例措置の対象から除外される、つまり土地の税額が上がる場合があります。
「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊したり、危険な状態になるおそれがあったり、下水などが壊れて周囲に汚水が流れたり、悪臭を放ったりして、衛生上有害となるおそれのある状態や適切な管理がされていないことから家が草木に覆われているため、動物が出入りしたり、虫がわいたりして景観を損なったり、周辺の生活環境を守るために放置することが不適切だと認められる空家等のことをいいます。
長崎市では老朽化して危険、または危険となる恐れがある特定空家等の除却を行う方に、その除却費の一部(最大50万円)を補助しています。
長崎市特定空家等除却費補助金(長崎市HPより)
隣の家が倒壊しかかって、自分の家にもたれかかっているという通報もときどきあるようで、私の家のオーナーさんも安心して住んでもらえるうちにと思って、不動産会社に相談されたようです。
古い家とはいっても、昔の家はかなりしっかり作られていて梁も立派なところが多いです。木材もかなりいいものを使っています。風を入れて手入れを行うことで家は呼吸をして元気になると言います。
聞いたときは「まさか」と笑ってしまいましたが、掃除をすると床はビカビカになるし、近所の方も「家が明るくなったね」と言ってくださるので、本当なのかもしれませんね。
オーナーさんはこの家を売りたいと考えているようです。私たちも今買うかどうか考えているところです。
今のところ住みにくさなどは感じていませんが、購入となるといろいろと考えなければならないこと、確認しなければならないことがあります。
5. 空き家購入時の注意ポイントと事前に知っておくべきこと
空き家を購入する際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。
以下に、空き家を購入する前に知っておくべき事項をまとめました。
1. 空き家の情報を詳しく集める
- ネット上の情報だけではなく、現地での確認が必要です。
- 実際に現地を訪れ、住宅としての機能性や周辺環境、売却理由などを確認しましょう。
- 購入後に問題が生じないように、詳細な情報を集めることが重要です。
2. 空き家取得にかかる税金を理解する
- 空き家を購入する際には、さまざまな税金がかかることを把握しておきましょう。
- 印紙税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税などがあります。
- 購入費用だけでなく、これらの税金も含めた資金計画を立てる必要があります。
3. リフォーム・修繕費用について把握する
- 空き家は多くの場合、リフォームや修繕が必要ですので、その費用を事前に把握することが重要です。
- 費用を見積もらないまま購入すると、予想以上に費用がかかることがあります。
- リフォーム費用やリフォーム後の物件の価値を考慮し、購入を検討しましょう。
これらのポイントを押さえ、空き家の購入に臨むことで、後悔することなくスムーズな取引が可能です。空き家購入は心配を伴いますが、慎重な準備と情報収集を行うことで、理想の住まいを見つけることができます。
まだはっきりと決めていませんが、よくよく考えていきたいと思います。
それにしても長崎の空き家は魅力的なものが本当に多いです。